古生物学・年代学研究センターについて
【 経 緯 】
岡山理科大学では、1980年代に蒜山研究所に先駆的にK-Ar年代測定システムが稼働して以来、年代測定を行うことができる研究機関として、日本の地球科学および惑星科学の重要な研究拠点としての地位を保ってきた。そして、オープンリサーチセンター「地球型惑星の物質科学と歴史探究」(平成17年度から21年度)、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「鉱物の物理化学特性から読み取る地球、惑星の環境変遷史」(平成23年度から27年度)として、質の高い研究実績を残した。
一方、平成25年、林原自然科学博物館(岡山市)が閉鎖された際、本学は恐竜に関わる標本、研究事業及び研究者を承継すると共に、モンゴル科学アカデミー古生物学地質学研究所との協力関係も引き継いだ。この古生物学的研究に、本学がそれまでに培ってきた地質年代学および物性物理学的手法を組み合わせることにより、さらに大きな研究拠点となり得ることを確信し、私立大学研究ブランディング事業「恐竜研究の国際的研究拠点形成」(平成28年度から31年度)へ申請そして採択に至った。
このように、物質科学的分析による地球年代学に裏打ちされた恐竜化石をはじめとする古生物学研究は、他大学にはない独自性があり、まさに岡山理科大学ビジョン2026にある“個性的で魅力ある研究”となっている。そこで、私立大学研究ブランディング事業によってその基礎を築いた研究拠点をさらに発展させ、「年代学を基礎とした古生物学」を本学の特色としてアピールするとともに強固なものとし、得られる研究成果を学生の教育および社会に還元するため、「岡山理科大学古生物学・年代学研究センター」を令和2年4月に設置することになった。
【 目的と特色 】
本研究センターは、年代学的手法及び分析学的手法を組織的に密接に古生物学の研究に取り入れ、融合させて、年代学的研究を基礎とした古生物のマクロ進化を研究目的とする新たな研究分野の構築と進展を図る。古生物学を専門とする研究者の在籍する研究機関は国内に複数存在するが、年代学を基礎とする形で組織的に古生物学の研究を行う研究機関は、この研究センターが設立されれば国内で唯一のものとなり、世界的に見ても数少ない極めて特色のある研究機関となる。また、本研究センターを共同利用研究施設と同様の方式で運営し、国内外を問わない学外との共同研究をこれまで以上に積極的に推進する。そして、最新の研究成果を取り入れた学部教育を行うと共に、大学院教育においては国内外の研究者との国際的な共同研究に参加させる。
本研究センターのもう一つの特長は、恐竜学博物館を組織として持ち、ここを通して最新の研究成果を広く社会へ直接還元できる点にある。特にこの博物館は、恐竜研究の現場を「展示」することを主たる目的にしているところに大きな特徴があり、研究のプロセスを大切にする大学ならではの社会貢献の機会を持つことになる。
【 組織 】
研究センターには、研究推進部門及び恐竜博物館を置く。研究推進部門は、古生物学研究グループと年代学研究グループからなる。
【 運営方法 】
学内の様々な分野の教員との学内共同研究を推進する。
国内及び国際共同研究を推進する。
共同研究は、公募により提案を募り、審査委員会を経て採択する。
共同研究は、(兼任を含む)所属教員が責任者として推進できる課題とする。提案者と研究グループを作り、基本的には学外の研究者側が本学を訪問して本学の研究資源を利用することで行う。
研究シンポジウムをはじめ、積極的に国内学会、国際学会を招致する。
恐竜学博物館において、展示を学内外に公開すると共に、教育プログラムを行う。
【 研究課題 】
(1) モンゴル恐竜化石の絶対年代測定
(2) モンゴル産恐竜化石研究を中心とした古脊椎動物の系統分類と古生態
(3) 年代にもとづく地球表層環境と生物との共進化
(4) 地球史を通した大陸の形成と進化
(5) 新しい年代測定手法の開発とその応用
(6) 博物館展示の充実と、社会への情報発信
年度報告書
2020年度 報告書
2021年度 報告書
2022年度 報告書
2023年度 報告書