私立大学研究ブランディング事業(平成28年度採択) 恐竜研究の国際的な拠点形成 ~モンゴル科学アカデミーとの協定に基づくブランディング~

恐竜プロジェクト

本学研究ブランディング事業の概要

 本事業は、本学が協定を締結しているモンゴル科学アカデミーとの連携に基づき、ゴビ砂漠で豊富に産出する恐竜化石を対象に骨化石の構造分析や生痕化石の形状から恐竜の生理生態学的な特性を解明するとともに、新たな年代測定法を用いて地質層序を明確にして恐竜進化の大陸間対比を行う。また、研究・教育・広報の機能を持つ恐竜学博物館を本学に設置し、モンゴル及び日本の若手研究者育成と本学のブランド形成の拠点とする。

本事業の目的

①本学と社会情勢に係わる現状

 平成25年に岡山市にある林原自然科学博物館(以下「林原博」と呼ぶ)が事業を終了した際、本学はその恐竜標本(実物とレプリカの全身骨格8体を含む約500点)、研究事業および研究者を承継した。これは日本地質学会、日本古生物学会、国際古脊椎動物学会、地元関係機関等から林原博事業存続と標本散逸防止に関して強い要望を受けたことによる。本学は、その直前の平成24年に自然史学的なフィールドワークに重点をおく生物地球学部を発足させ、平成26年には同学部内に「恐竜・古生物学コース」を設置して、学生が学士課程から大学院課程まで系統的に恐竜学を学べる体制を整えた。それと並行して、モンゴル科学アカデミー古生物学地質学研究所(以下「IPG」と呼ぶ)との間に恐竜に関する研究教育協力協定を締結し、同コースの教員と学生がIPGと連携してゴビ砂漠での野外調査を進めている。

②研究テーマの設定

 モンゴル国はゴビ砂漠に代表される世界有数の恐竜化石産地を有する。しかし、その化石含有層の詳細な年代が不明なため、全世界を視野にいれた恐竜進化史解明の大きな障害となっている。本事業で年代が特定されれば世界中の標準層序との対比が可能となり、特に環太平洋地域における恐竜進化の大陸間対比ができる。加えて、モンゴル国の化石は極めて保存状態が良いため、骨化石の構造分析や生痕化石の形状から恐竜の生理生態学的な特性の解明が見込まれる。

 本学は以前から地質年代学の国内研究拠点として、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業やオープン・リサーチ・センター整備事業などに選定され、先進的な年代測定法の開発を行ってきた。その研究成果はNature 誌を始め著名な雑誌に多数掲載され、幾多の学会賞も受賞している。本事業ではこれらの研究成果に基づき、IPGとの協力協定を最大限に活かし、地質年代学と古生物学、地質学、病理組織学等の研究者が学部横断的に結集して、IPG研究者と共同研究を推進する。同時に、研究成果の社会広報ならびにアジアの学生や若手研究者の国際教育交流拠点として本学に恐竜学博物館を設置する。この事業を遂行できるのは、林原博の承継・モンゴルとの協力協定・地質年代学拠点という優位性を有し、「恐竜・古生物学コース」という確固とした人材育成の体制が整った本学をおいて他にない。このような優位性・独自性を考慮して、「恐竜研究の国際的な拠点形成」を本学のブランドとして位置づけることとした。